特定信書便事業許可申請サポート

目次

特定信書便事業とは?

「特定信書便事業」とは、次のいずれかに該当する信書便の役務のみを他人の需要に応じて提供する事業をいいます。

(1)大型信書便サービス(1号役務)
長さ、幅及び厚さの合計が73cmを超える、又は重量が4kgを超える信書便物を送達するもの

(2)3時間以内の急送サービス(2号役務)
信書便物が差し出された時から3時間以内に当該信書便物を送達するもの
※例えば、バイク便など

(3)高付加価値サービス(3号役務)
料金の額が800円を下らない範囲において総務省令で定める額を超えるもの

また、「信書」とは、郵便法第4条において、「特定の受取人に対し、差出人の意思を表示し、又は事実を通知する文書」と定義されています。
この信書に該当する文書の例として、請求書及び許可書、証明書の類が挙げられます。
いわゆるメール便は、信書便ではないため、メール便では請求書などの信書を送ることが禁止されています。

さらに、信書便事業の類型には、特定信書便事業の他に「一般信書便事業」(いわゆる郵便事業)があります。
この一般信書便事業は、日本郵便株式会社の郵便事業と同一レベルの基準をすべてクリアーしなければならないため、日本では同社のみが取扱っています。
従来、信書便の送達は、郵便事業会社がすべて独占していたのですが、平成14年に信書便法が制定されたことにより、民間事業者にも限定した形で信書便事業への参入が認められました。

これを受けて、信書を含む貨物を取り扱う運送事業者が、運送業の免許に加えてこの特定便信書便事業免許を取得するケースが増えています。

ここで、特定信書便事業と貨物運送事業の違いを端的に説明すると、両事業共に荷主から依頼を受けて有償にて貨物を運ぶという点では同じなのですが、特定信書便事業は、貨物を問題なく運ぶことを前提としつつ、「信書の秘密」を保護することに重点が置かれています。

運送事業者の方の中には貨物の中身に信書が含まれているとは知らずに貨物を運んでいるケースがまま見受けられるため、今後、信書を運ぶことが想定される運送事業者の方は、この特定信書便事業免許を取得することをお勧めします。

なお、特定信書便事業免許と取得せずに信書を送達した場合、郵便法違反として3年以下の懲役又は300万円以下の罰金に処せられることがあるため、ご注意ください。

特定信書便事業の許可基準(参入条件)について

特定信書便事業を営もうとする者は、信書便法等に定める下記の基準に従って、提供する役務の種類や信書便の引受け・配達の条件などを明記した事業計画を作成し、事業収支見積書などの添付書類と合わせて総務大臣に許可申請する必要があります。

(許可基準)
(1)事業計画が信書便の秘密を保護するため適切なものであること
※受取人への引渡しや確実な受箱投函(郵便・新聞受箱への投函)など


(2)その他事業の遂行上適切な計画を有するものであること
※交通法令の遵守(3時間以内の送達の役務(2号役務)の場合)

※適正かつ明確な収支見積の算出など


(3)事業を適格に遂行するに足る能力を有するものであること
※財産的基礎が担保されていること

※関係行政庁の必要な許認可(一般貨物自動車運送事業・貨物軽自動車運送事業免許等)など


特定信書便事業への新規参入をご検討される事業者の方は、通常、運送業の免許を保有していることが多いため、上記②の「適正かつ明確な収支見積の算出」及び上記③の「財産的基礎の担保」が申請上の重要なポイントとなってきます。


特定信書便事業許可までの流れについて

(1)事前相談(事前面談)
特定信書便事業免許取得を検討する事業者は、先ずは、地方総合通信局に訪問し、同局の特定信書便監督官室の担当官と面談し、大まかな事業内容を説明する必要があります。
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(2)事前審査(仮審査) 
上記事前相談を無事にクリアーすると、次は、担当官の指示に従って、特定信書便許可申請書案(ドラフト)を作成し、添付書類と共にこれらを提出する必要があります。
地方総合通信局の特定信書便事業の担当官及び総務省の特定信書便事業の担当官の事前審査とこれに対するドラフトの訂正作業を何度か重ね、この事前審査を無事に通過すると、ようやく本申請へこぎ着けることができます。
ただし、特定信書便事業の免許は、本審査後に審議会への諮問・答申を経ないと付与されないため、次回の審議会の約2か月前までに本申請へ向けた準備が整っていないと、さらにその次の審議会の約2か月前まで本申請を待つことを余儀なくされます。
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(3)本審査
審議会の開催時期(約3か月間隔)に合わせて、次回の審議会の約2か月前に地方総合通信局に本申請書類一式を提出します。
なお、本審査の標準処理期間は1~2か月となっています。
 ⇓
(4)情報通信行政・郵政行政審議会への諮問・答申
信書便法の規定に基づく事業許可等の行政処分や総務省令の制定・改廃については、公正な第三者の意見を聴いて慎重に行う必要があることから、審議会へ諮問することとされています。
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(5)許可・認可
地方総合通信局の局長より直々に許可状が交付されます。
また、特定信書便事業許可申請と同時に信書便約款認可申請及び信書便管理規程認可申請をした場合には、このタイミングで認可通知書についても交付を受けます。
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(6)事業開始の届出
事業を開始した場合は、遅滞なくその旨を届け出る必要があります。

特定信書便事業許可申請に必要な書類について

(1)申請書
※申請上のポイントとなる「事業計画」も申請書に記載します。

(2)添付書類
①事業収支見積書
※申請上のポイントとなる書類に該当するため、的確かつ適正な記載が求められます。
※事業収支見積書に記載する数字の算定根拠となる資料の提出も求められます。
②特定信書便役務内容を記載した書類
※「事業計画」に関連する書類に該当します。
③運送業などの許可証等の写し
④事業開始に要する資金総額及びその資金調達方法を記載した書類
※①と同様に申請上のポイントとなる書類に該当するため、的確かつ適正な記載が求められます。
⑤申請者が既存の法人の場合
(ア)定款の写し
(イ)会社登記簿謄本
(ウ)直近の事業年度における貸借対照表及び損益計算書の写し

※上記①④の書類に記載する数字の算定根拠資料となることもあります。
(エ)役員名簿・履歴書
※住民票や戸籍謄本等で確認するなど正確な記載が求められます。
(オ)役員が欠格事由に該当しないことを示す書類(宣誓書)

特定信書便許可申請においては、とにかく「事業計画」と「事業収支見積書」に係る書類を迅速かつ正確に作成できるかがポイントとなってきます。
この他、信書便約款及び信書便管理規程の認可を同時に申請する場合には、それぞれの申請書各1通と信書便約款・信書便管理規程の提出が求められます。
なお、特定信書便事業者が、総務大臣が定めて公示した標準信書便約款と同一の信書便約款を定めたときは、総務大臣による認可手続を省略できます。


以上のように特定信書便事業許可申請に係る許可基準(参入条件)や申請上のポイントは、漠然としていて分かりにくい点が多いことから、特定信書便事業への新規参入にあたり、同事業の許可基準を満たしているかや申請上のポイントについて何かご不明な点がありましたら、ご気軽にお問い合わせください。

特定信書便事業許可後の手続きについて

(1)事業開始の届出について
特定信書便事業を開始後、遅滞なく(おおよそ1週間以内)事業開始届出書を提出する必要があります。

(2)信書便約款の申請・届出について
信書便物の送達に自動車その他の輸送手段を使用する場合について、信書便事業の開始までに国土交通大臣の許可その他の処分を要することがあります。
①一般貨物自動車運送事業の場合
一般貨物自動車運送事業の許可を受けている場合には、事業の開始前に現在使用している運送約款に加えて、信書便約款を追加する旨の「運送約款変更認可申請書」を運輸支局等に提出し、認可を受ける必要があります。
②貨物軽自動車運送事業の場合
貨物軽自動車運送事業の経営の届出をしている場合には、事業開始前に現在使用している運送約款に加えて、信書便約款を追加する旨の「貨物軽自動車運送事業経営変更届出書」を運輸支局等に提出する必要があります。
③貨物利用運送事業の場合
貨物利用運送事業の登録・許可を受けている場合には、事業開始前に現在使用している利用運送約款に加えて、信書便約款を追加する旨の「利用運送約款変更認可申請書」を国土交通省又は運輸支局等に提出し、認可を受ける必要があります。

(3)信書便であることの表示について
特定信書便事業者は、取扱いにかかる信書便物について、法令で「信書便物であることを表示しなければならない」とされています。
①表示事項について
・「信書」「信書便」「信書便物」のいずれかの文言
・「特定信書便事業者の名称」又は「特定信書便事業者を示す標章」
・「信書便を引き受けた日」
⇒差出人が表示しないことを同意している場合には表示が不要です。
②表示方法について
・「送り状に印刷してある文言に○を付ける」
・「送り状の備考欄等に記載する」
・「シールを貼る」
・「スタンプを押す」
・「タグ・荷札を取り付ける」
など

(4)特定信書便マークの使用について
総務省の制定した「特定信書便マークを使用する場合には、「特定信書便マーク使用許諾申請書」を提出して、同マークの使用許諾を得る必要があります。

特定信書便事業許可申請サポート

サポート内容

1.申請から許可まで
①関東総合通信局との事前相談
②準備書類の案内及びヒアリングシート・添付書類(様式・記載例等)の送付
③ヒアリングシート・添付書類の確認及び助言
④許可申請書類(案)の作成及び提出
⑤事前審査の対応(関東総合通信局とのやり取りなどの窓口業務を含む)
⑥許可申請書一式の提出
⑦本申請後の補正対応(関東総合通信局とのやり取りなどの窓口業務を含む)

2.許可後から事業開始まで
①信書便約款の申請・届出
②事業開始の届出

料金

(1)登録免許税(納付手数料)
特定信書便事業許可後に登録免許税として30,000円を納付する必要があります。

また、当事務所に上記申請代行業務をご依頼いただく場合には、上記費用に加えて、行政書士の報酬をお支払いただいております。

(2)報酬(目安)
当事務所に特定信書便事業許可申請代行業務をご依頼いただく場合には、通常、下記の報酬をお支払いただいております。
なお、下記報酬額はあくまで目安であり、正確な報酬額を算出するには事業者の方の個別具体的な事情を勘案する必要があるため、当事務所では初回のご相談後に正式なお見積りを提示しております。

400,000円(税込440,000円)~
※役務が1つの場合
※関東総合通信局との事前相談を含む

なお、初回のご相談は無料でお受けしておりますので、ご気軽にお問い合わせください(ただし、出張相談を除きます)。

※ZoomやLINEなどのビデオ通話を利用した無料相談も行っております

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