令和6年4月から旅客自動車運送事業運輸規則等の一部改正及び追加を反映した新しい安全ルールが始まります。パンフレットを一読するだけでは分かり難いことから、どのようなルールになるのか分かりやすくQ&A形式にして改めて解説したいと思います。
新しい安全ルールの項目は大きく分けて以下の5つとなります。
①点呼
②アルコールチェック
③記録の保存
④デジタル式運行記録計(デジタコ)
⑤情報公開
点呼について
1日の乗務前後等に運転者の疲労や睡眠不足の状況などを確認する点呼はどのように行うのか?
点呼実施者と運転者の動画映像と音声の両方が必要となります。点呼の様子の一部始終を撮影してください。
また、音声は点呼時の指示事項等のやり取りが分かるように記録してください。
監視カメラやスマートフォン、パソコン内蔵のWebカメラ等機器は問いませんが、運転者を識別できることが重要です。運転者を後方から撮影するのは識別が困難になりますのでやめた方がいいでしょう。
電話点呼の場合はどうすればいいのか?
点呼実施者、運転者双方のやり取りの録音のみで大丈夫です。録音方法は問いません。
記録した映像・音声の保存方法はどうすればいいのか?
ファイル名や保存日をつけて撮影日が分かるようにし、90日間保存してください。
アルコールチェックについて
酒気帯びの有無を確認するアルコールチェックはどうしたらいいのか?
運転者の顔が容易に確認できるようにして検知器による呼気検査中の顔写真を撮影・保存してください。
ただし、点呼の動画でアルコールチェック時の運転者の顔が容易に識別できる場合には写真撮影は不要です。
電話点呼の場合のアルコールチェックはどうすればいいのか?
顔写真の撮影・保存は必須となります。
もっとも、ドライブレコーダーによるアルコールチェック時の映像に代えることもできます。
点呼やアルコールチェックの映像や写真等の保存期間は?
点呼実施日を1日目とし、そこから90日間保存してください。
記録の保存
記録の保存はどのようになっているのか?
運送引受書、手数料の額を記載した書類、業務記録、運行指示書の保存は紙でも電子ファイルでもどちらでも大丈夫です。ただし、点呼の記録は電子ファイル保存が必須となります。
全ての記録を紙と電子ファイルの両方で保存するのか?
電子ファイルで保存した場合は紙の保存は不要となります。ただし、記録の保存期間が3年に延長されましたので注意してください。
点呼の記録は電子ファイル保存が必須ですが、点呼記録システムの導入が求められるのでしょうか?
システムの導入は必須ではありません。紙媒体に記録したものをスキャンしたり、表計算ソフトで作成したものをPDF等のデータで保存するなどの対応で問題ありません。
なお、スキャンした場合には、改ざんが容易にできないようPDF等にして点呼日から1週間以内にパソコンに保存してください。
デジタル式運行記録計(デジタコ)
すべての貸切バス車両が令和6年4月からデジタコが必須となるのか?
令和6年4月1日以降に新規登録を受けた貸切バス車両、つまり新車は令和6年4月1日からデジタコが必須となります。なお、既販車については翌年の令和7年4月1日から必須となるためご注意ください。
学校の送迎用など特定旅客に近い形態で運行を行っていますが、デジタコ義務付けの対象になるのか?
運行形態が貸切契約であれば、運行実態や車両の形状に関係なくデジタル式運行記録計の使用が義務付けられます。
ボンネットバスなどデジタコが装着できないバスの場合はどうするのか?
デジタコを装着できない車両は義務付けの対象外となります。もっとも、複数の運行記録計のメーカーからデジタル式運行記録計の装着が困難である旨の回答文書(書面やメールなど)をもらい、対象車両を保有しなくなるまでその回答を保存してください。
情報公開について
インターネットなどで公表すべき安全に係る取組の内容として何が追加になったのか?
令和6年4月1日以降の報告から、初任運転者に対する20時間の実技指導(添乗付き)を掲載する必要があります。具体的には、実施ルート、実施時期、車種区分、指導の具体的な内容、添乗者の指導歴などをホームページに掲載してください。
実技指導時の写真や動画を掲載する必要はあるのか?
写真や動画を掲載することは必須ではありませんが、安全性のPRの観点から掲載いただいても構いません。
どのように実技指導を行ったらいいのか?
国土交通省では、初任運転等に対する指導監督指針の内容をWEBサイトにて案内しているため、詳細については、以下のURLをご参照ください。