平成30年1月31日に「標準引越運送約款、標準貨物軽自動車引越運送約款及び標準貨物自動車利用運送(引越)約款」が公示され、同年6月1日に施行されることが決まったため、今回は、改正標準引越運送約款及び改正標準貨物自動車利用運送(引越)約款等の概要についてコメントしたいと思います。
<改正標準引越運送約款及び改正標準貨物自動車利用運送(引越)約款等の概要>
1.標準引越約款等の改正の背景について
引越運送業においては、①インターネットの普及によりウェブ上での一括見積もりによる引越業者の選択、単身引越しへの対応等、消費者ニーズや引越事業者が提供するサービス内容が多様化していること、②ドライバー不足等が大きな課題となっていました。
そのため、国土交通省では平成27年に「標準引越運送約款改正検討会」を立ち上げ、適用範囲の拡大や解約・延期手数料等の改正について検討を重ねた結果、この度、当該検討会での議論を踏まえ、標準引越運送約款、標準貨物軽自動車引越運送約款及び標準貨物自動車利用運送(引越)約款の改正を行う運びとなりました。
2.標準引越約款等の改正の概要について
(1)標準引越運送約款等の適用範囲に積合せによる引越運送の追加について
①今後、単独世帯数の増加が見込まれ、1台のトラックで複数の引越利用者の荷物を運送する積合せ運送による引越しの増加が予想される。
②積合せ運送による引越しについても、見積もりを行うなど通常の1台貸切りによる 引越運送と同様の形態となっている。
(改正における留意点)
ロールボックスパレット等の容器単位での価格設定となっている単身者向け引越しサービス等については、引越運送約款によらない旨を引越事業者が予め告知した場合は適用されません。
(2)見積書の記載内容の確認日及び解約・延期手数料の請求対象日及び料率の見直しについて
①運転者不足等が課題となっており、人や車両の確保が非常に困難となっている。
②引越事業者は引越しの3日前以前から車両及び作業員の手配を行っている場合が多く、2日前の時点で解約・延期が生じた場合、他の仕事を受注することが困難であることから、引越しの2日前~当日に解約・延期が生じた場合には、運転者や作業員を他で活用することが難しく、損失が発生している。
③他のモードと比較しても引越約款における解約・延期手数料率は低く設定されている。
(見積書の内容の確認日について)
【改正前】見積書に記載した荷物の受取日の2日前までに、見積書の記載内容の変更の有無等について確認↓
【改正後】見積書に記載した荷物の受取日の3日前までに、見積書の記載内容の変更の有無等について確認
(解約・延期手数料について)
【改正前】
●引越し当日の解約・延期 →運賃の20%以内
●引越し前日の解約・延期 →運賃の10%以内
●引越し前々日の解約・延期 →無し
↓
【改正後】
●引越し当日の解約・延期 →運賃及び料金の50%以内
●引越し前日の解約・延期 →運賃及び料金の30%以内
●引越し前々日の解約・延期 →運賃及び料金の20%以内
以上