今回は、貨物自動車運送事業法の改正概要のうち「規制の適正化」に関する改正ポイントについて取り上げたいと思います。
1.休廃業の届出の取扱いについて
【従来】事業休廃止後30日以内に届出(法第32条)
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事前届出制へ変更
「一般貨物自動車運送事業者は、その事業を休止し、又は、廃止しようとするときは、その30日前までに、その旨を国土交通大臣に届け出なければならない。」
2.許可申請処理方針について
(1)事業拡大にあたる申請
①期間制限
行政処分後、事業拡大にあたる申請ができない期間が3か月から6か月へ延長されました。
※悪質な違反については、6か月から1年に延長されました
②人的制限
①の行政処分を受ける原因となった事由が発生した当時、現にその法人の業務を執行する役員ではないこと
→非常勤を含めた確認が必要です
(2)役員の欠格事由の追加
・申請者の役員に占めるその役員の割合が1/2を超えるもの
・申請書の株主と株主構成が類似しているものなど
3.事業計画変更処理方針について
(1)車両数の変更に係る認可
①5両未満での増減車の場合
・変更後の車両数が5両未満となるとき
災害等により車両が使用不能となり、これに代わる車両が確保されるまでの間におけるものである場合に限り認可する
→「等」の意味として、事故・故障などで使用不能となる場合も、計画書を添付させ、具体的な計画であることが確認できれば認可する
・5両未満から増車するとき
基準に適合させるための適切な事業計画を有していると認められる場合に認可する
②増車する場合で、下記イ~ハに該当する場合
イ)変更を行おうとする者と貨物自動車運送事業法第5条第3号に準ずる密接な関係を有する者が一般貨物自動車運送事業又は特定旅客自動車運送事業の許可の取消しを受け、その取消しの日から5年を経過しない者である場合
ロ)変更に係る営業所における行政処分の累積違反点数が12点以上である場合
ハ)変更に係る営業所について、申請日前1年間に適正化事業実施機関が行う巡回指導による総合評価において「E」判定を受けている場合
③保有車両数から大幅に増車する場合
「変更に係る車両数」+「申請日前3か月以内に増加した車両数の合計」
=申請日から起算して3か月前時点の、当該営業所に配置する車両数の30%以上になるとき、かつ、11両以上であるとき
⇒②または③に該当する場合は、事業計画変更認可処理方針(7)①の基準に準じた審査を行う(事業規模拡大申請に該当)。
(2)事業計画変更認可処理方針(7)①
(事業規模拡大の審査項目)
イ)申請日前6か月間(悪質な違反の場合は1年間)又は申請日以降に、当該申請地を管轄する地方運輸局又は当該申請地を管轄する地方運輸局内の支局長から行政処分を受けていないこと。
→行政処分を受ける原因となった事項が発生した当時、現に法人の役員だったものを含む
ロ)申請日3か月間又は申請日以降に、適正化実施機関による巡回指導の総合評価において「E」評価を受けた者でないこと(指摘事項全てについて改善報告を行っている場合を除く)
※申請に係る営業所を審査
※営業所新設の場合は申請地を管轄する地方運輸局内における全ての営業所
ハ)申請日前3か月間又は申請日以降に、自らの責による重大事故を発生させていないこと
二)申請する営業所を管轄する運輸支局内における全ての営業所に配置している車両の車検証が有効なものであること(特別な事情がある場合を除く)
ホ)運賃料金や事業報告・実績報告などの届出及び報告義務違反がないこと
ヘ)運賃部分と料金部分を区分して収受する旨が明確に定められている運送約款を使用していること(施行規則第12条に該当する場合を除く)
5.事業計画変更認可処理方針の細部取扱い
(1)営業所の契約期間
営業所の契約期間が1年から2年へ延長
→2年に満たない場合には、自動更新である場合に限り使用権原を有するものとして認める
※休憩睡眠施設・自動車車庫にも準用
(2)加入する任意保険等の損害賠償額
加入すべき任意保険等の損害賠償額が2本立てに変更
①生命又は身体の損害賠償に係るもの・・・被害者1名につき限度額無制限
②財産の損害賠償に係るもの(新設)・・・限度額200万円以上
(3)営業所・休憩睡眠施設・自動車車庫の写真
営業所・休憩睡眠施設・自動車車庫の写真の添付が追加され、申請時に提出できない場合には、認可後の提出も認める
(写真のチェックポイント)
①営業所
電話、デスク、印刷機、パソコン、アルコール検知器など、業務上必要となるであろう機材が確認できるか
②休憩睡眠施設
ソファ、布団又はベッド、給湯スペースなどが確認できるか
③自動車車庫
他の用途に使用される部分と明確に区分されているか(車庫として使用できない状態となっていないか)
→例えば、申請しているスペースに物が置かれていないか等
以上